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フェリックス・ブルックス-チャーチ

2021年度 ロレックス賞受賞者

タンザニアの栄養失調を根絶する一つの栄養強化バッグ

栄養失調が原因で、毎日15,000件の防ぐことが可能な子どもの死が世界で発生している。アメリカの社会起業家であるフェリックス・ブルックス-チャーチは、恵まれない社会で暮らす、すべての母親と乳児がとる食事に、命を救うために必要な栄養素が含まれていることを保証する独創的なシステムを開発した。彼のプロジェクトは世界的なモデルとして、タンザニアの子どもたちに新しい命と希望をもたらしている。

フェリックス・ブルックス-チャーチのプロジェクトの中心となるのは、地元の製粉業者が販売する小麦粉にビタミンB12や亜鉛、葉酸、鉄分を計量して添加する「ドースファイアー(dosifier)」の発明だ。このプロセスは、政府の食生活改善プログラムでは見落とされがちな地域の小規模製粉工場が、自社や顧客に追加コストをかけずにドースファイアーを使用できるよう、巧みなビジネスモデルによって支えられている。彼の社会的企業、サンク(Sanku)は小麦粉の袋を安くまとめて購入し、市場価格で製粉業者に販売している。マージンは栄養素を添加するためのわずかなコストをカバーしている。このモデルはブルックス-チャーチのプロジェクトが極めて費用対効果に優れていることを示しており、栄養価の高い食料の供給を一人あたり年間1ドル未満で行うことができる。

ブルックス-チャーチが栄養失調をなくそうと考えたきっかけは、10年前に行ったカンボジアでのボランティア活動だった。「私は、ストリートチルドレンを路上から私たちのセンターに連れてきて、最終的には学校や家族のもとへ送り戻すプロジェクトを実施しました」と彼は話す。栄養不足が彼らを苦しめる根本的な原因だった。「私はすぐに、子どもたちの多くは病気になっていることに気づきました。彼らは免疫力が低下していて、IQが低く、学習障害があり、中には死ぬはずがないことで亡くなった子どももいました。」

私たちがやっていることは、食物に栄養素を加えるだけではありません。私たちが行っているのは、栄養を摂取するという基本的な人権の確保です。

フェリックス・ブルックス-チャーチ

ストリートチルドレンを救うだけでは問題は解決しないと考えた彼は、母親と赤ちゃんの両方に、生後2年間に必要な栄養を届けなければならないと考えた。これがきっかけで、世界の1億人の子どもたちに健全な食生活を提供するという熱い野望が芽生えた。「自分のやるべきことが明確になりました。これが私のやりたかったことです。それが、この旅の始まりでした」

ブルックス-チャーチのドースファイアーは、軽量かつ丈夫で信頼性が高く、1回分の栄養素を正確に測定する。また、インターネットでネットワーク化されており、タンザニア全土の工場を監視することが可能だ。今では1日に200万人の栄養補給に貢献している。

小麦粉の袋の売り上げで栄養���を添加する費用を賄っているが、ブルックス-チャーチはロレックス賞の資金を使ってさらに40台のドースファイアーを購入し、小規模な製粉工場を変革して20万人もの人々に栄養価の高い小麦粉を提供する予定だ。また、今回の受賞でプロジェクトの知名度が上がり、大幅なスケールアップのための支援が得られることを期待している。

ブルックス-チャーチは今年、タンザニアの製粉工場にさらに180台のドースファイアーを設置し、その後、他国にも少なくとも年1台のペースで拡大していく予定だ。

「私たちがやっていることは、食物に栄養素を加えるだけではありません」と彼は話す。「私たちが行っているのは、栄養を摂取するという基本的な人権の確保です。それはシェルターや安全、水も同じです。世界には多くの不公平がありますが、これは平等のために私が果たすべき役割です」

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